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地方におけるM&A動向


2023年11月9日 M&A

中小企業では後継者不足への対応が急務とされています。
また、近年では公的な支援が強化されるなど、
地方においても事業承継課題の一つの手法としてM&Aが活用される機会が増えてきています。
本コラムでは、地方におけるM&Aの動向について、玉積が解説させて頂きます。

1.地域別M&A(2022年)の状況

 

シナジー効果 MA

2022年における売手地域別のM&A件数(株式/事業譲渡のみ)は下図の通りです。
これは公表ベースの情報であることに留意する必要があるものの、経営者から見た場合においても、
M&Aの起こりやすさという点において、「大都市圏>地方都市圏」といった構図にさほど大きな違和感はないかと思います。


(図A)レコフデータより弊社作成

2.後継者不在率

 

次に、少し視点を変えて、地域別の後継者不在率を見てみたいと思います。
下図は2021年~2022年の後継者不在率について、上位/下位10社の数値を表しています。

帝国データバンクのレポートによると、2022年における後継者不在率の全国平均は57.2%となり、
2011年の調査開始以降初めて60%を切ったとされています。
これは、一見すると後継者不在率が改善傾向であるように見えますが、近時の新型コロナウイルス流行や資源価格高騰等による
「休廃業」等の影響も念頭に入れておく必要があります。
(図B)帝国データバンク「全国企業「後継者不在率」動向調査(2022)」より弊社作成

3.地方における課題とは?

 

4. 事業を相場より高く売却するコツ

下図は、前項で触れた後継者不在率の上位/下位10社におけるM&A件数との相関を表しています。


(図C)弊社作成

全体平均値(M&A件数/後継者不在率)を基準点に置いた場合、下記3つのカテゴリに区分されると考えられます。

①事業承継が急務なカテゴリ
後継者不在率が高いにも関わらずM&Aが積極的に行われていない地域。
こうした地域においては、「M&Aによる外部承継」だけでなく「親族内承継」についても課題があるケースが多いと考えられます。
(参考コラム)中小企業の後継者不足とその解決策(2022年3月25日)

②更なる推進が必要なカテゴリ
M&Aが積極的に行われている一方、後継者不在率が高い地域。
こうした地域は比較的大規模な商圏を有する地域が多いと想定される一方、地域・産業構造の特性などから、
買手を見つけづらいことや、後継者の育成や確保が困難であるという課題が考えられます。
外部承継の検討を行う場合には、事前に自社及び買手の検討ポイント等を確りと整理・把握していく必要があると考えます。
(参考コラム)M&Aによる会社売却を検討する際のポイントとは?(2022年5月6日)

③戦略的な承継の検討が必要なカテゴリ
後継者不在率が低く、且つM&Aも余り行われていない地域。
当然にして、既に親族内承継等の後継者候補が定まっているケースも多いと考えられる一方、
昨今の外部環境を踏まえ休廃業を検討しているケースも考えられます。
企業活動の単なる維持だけでなく、更なる成長という観点において戦略的に承継を行っていくための検討が必要と考えられます。
(参考コラム)休廃業問題~あきらめ型休廃業の増加~(2022年3月27日)

4.最後に

一般的に、地方においてM&Aが進みにくい理由は下記と言われています。

・M&Aに良いイメージがない(=“買収される”、“諦める”、“逃げる”等)
・コミュニティが狭く、検討の事実が噂として流れる可能性が怖い
・近くに相談できる専門家がいない

M&Aを活用した承継は、決して後ろ向きな目的ばかりではありません。
中小企業を取り巻く環境が大きく変化している中、会社の存続や更なる成長機会の確保のため、
前向きな経営戦略として検討すべき企業活動のひとつとされています。
様々な課題解決のためにM&Aを検討されている経営者の方は、一度M&Aの専門家に相談をされてみてはいかがでしょうか?

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LBPF玉積

玉積 範将

大手都市銀行にて約11年間に亘り、担当先企業の資金調達/事業成長支援(約5年)及び、自行の財務企画/予算・投資管理/コスト削減(約5年)、人事研修企画(約1年)に従事。
その後事業会社にて、グループ会社全体のバイサイドM&A戦略/実務に従事。
また、運輸交通/不動産/専門商社を始めとした多様な事業分野において事業・部門戦略/再生・成長計画の策定に関与。
LBPF入社後は、主に下記事業領域を中心としたM&Aに加え、主に東海、関西及び中四国エリアのカバレッジを担当している。

<主な事業領域>
・物流業界(貨物、旅客、MaaS関連(インフラ/IT等))
・設備工事業界(電気工事、電気通信工事、管工事)

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